2007年9月9日日曜日

エビコ帰還

TAKAHO&エビコが本日退院。
おれは仕事。
TAKAHO’s 母にお迎えにいってもらった。
そして久しぶりの流山帰還。
帰って一言。『けっこうきれいじゃん』。
昨日必死で掃除しましたから・・・。


 話変わって、『産婦人科たらい回し事件』の報道を今日見て。
思ったことをだらだらと。まとまってません。
ちょっと長いよ。まぁ、気楽に。

 たらい回しとは辞書的には「面倒な問い合わせやトラブル処理など日常業務以外の案件を部門間で押し付け合うこと。 」となっている。
おれも救急外来の一端を担う仕事についていて、実際に救急車の受け入れを拒否しなければいけないシーンを見かけることがある。

しかし、この辞書でいう『たらい回し』の意味とはかけ離れているように思われる。

 救急当直の医師が救急車の受け入れを断る理由として最も多い2要因として、

 ひとつは、
 救急外来がいっぱいで受け入れるベッドがなく、またマンパワーもなく受け入れたところでまともな処置もできず、現在いる患者の処置までもがおろそかになるような状況では、これは断るしかない。他の施設に回してもらうことが、その患者の命を救うための最善だという判断である。

 そしてもうひとつは、どこの病院でも救急を専門に飯を食っている医師(救急診療科etc)が毎日当直をしているわけではない。というより、そのケースのほうが少ない。
 みんな、昼間はどこかの科を専門としてやっていて、そのうえで順番に当直をやっている。だから、救急疾患に日々触れているわけではない。研修医以来タッチしたことのない疾患もある。そういう疾患の患者が救急当直ではわんさかくる。傷の縫合や風邪程度ならいいが、一刻を争う救急疾患(交通外傷・脳内出血・心筋梗塞etc)は、受けたところで設備もない、経験もない、検査するだけ。これで受けても検査の結果、やっぱりほかに回しましょうでは、ただの時間のロス。ならば最初から断ったほうが・・・。これも病院側としては一理ある判断。悪いのはその医師ではない。そういう医師が救急をやらざるを得ないシステムに問題がある。これは1病院ががんばったところでどうこうなる問題でもない。

 そんな状況で、どこからも断られて必死に辿り着いた患者を心の奥の正義感で無理して受け入れたが、マンパワーも足りず手遅れで処置が間に合わなかったからといってその医師と病院を責めては、これは本末転倒。ますます、riskyな疾患を受け入れる病院はなくなる。

 でも、内情を知っていても、自分たちが転々と病院を救急車で巡る立場になったら憤りを感じるであろうことも確か。もちろん今回の事件の被害者は何ひとつ悪くない。患者からすれば、そんな事情は知ったこっちゃない。とにかく自分たちの命を助けてくれさえすればいい。それもわかる。

 決して『面倒』だからとか『トラブル』だからと思って断る病院または医師はほとんどいない。少なくとも当院には、と信じたい。当院に限らず、睡眠もろくに取れずに、病院にほとんど毎日いるような医師だって中にはいる。

この報道は『たらい回し』という言葉がずいぶんとイメージを悪くしている気がする。内情をきちんと伝えて(医師or病院を犯罪者風に扱うのではなく)、本質を伝えていけば、いまの救急の現状を変えるひとつのきっかけになるかも知れないと感じた。

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